FX初心者向けガイド エキスパートアドバイザー(EA)の代表的なアルゴリズム
FX取引において、自動売買を可能にするEA(Expert Advisor)は、多くのトレーダーに利用されています。EAは、特定のアルゴリズムに基づいて売買を自動で実行するため、感情に左右されずに取引できる点が大きな魅力です。
この記事では、EAに用いられる代表的なアルゴリズムについて、それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。
1. ナンピン系アルゴリズム
ナンピン系アルゴリズムは、保有しているポジションが含み損になった場合、さらにポジションを追加することで平均取得単価を下げ、少ない価格反転で利益を狙う手法です。
特徴
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含み損の解消を目指す: 価格が逆行した場合に、追加のポジションを持つことで、少しの価格反転で利益を出しやすくします。
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マーチンゲール方式との組み合わせ: 損失が出た場合に、次の取引量を増やすマーチンゲール方式と組み合わせて利用されることもあります。
エントリーポイントの一般的なロジック
ナンピン系アルゴリズムにおけるエントリーポイントは、大きく分けて「初回エントリー」と「追加エントリー(ナンピン)」の2段階で考えられます。
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初回エントリー:
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テクニカル指標によるシグナル: 移動平均線のクロス、RSIやストキャスティクスなどのオシレーター系指標の買われすぎ・売られすぎ、特定のチャートパターン(例:ブレイクアウト)など、一般的なテクニカル分析のシグナルに基づいて最初のポジションを建てます。
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無裁量エントリー: 特定のシグナルを待たず、単に市場に参入するために初回エントリーを行うケースもあります。この場合、その後のナンピン戦略が重要になります。
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追加エントリー(ナンピン):
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固定値幅: 初回エントリーから一定の値幅(例:10pips、20pips)逆行するごとに、あらかじめ設定されたロット数で追加のポジションを持ちます。最もシンプルで一般的なナンピンロジックです。
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パーセンテージベース: 初回エントリーから価格が特定のパーセンテージ(例:0.1%、0.5%)下落(買いの場合)または上昇(売りの場合)するごとに、追加エントリーを行います。
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テクニカル指標のサポート/レジスタンス: 価格が主要なサポートライン(買いの場合)やレジスタンスライン(売りの場合)に到達し、一時的な反発が期待できるポイントで追加エントリーを行うこともあります。
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マーチンゲール方式: 追加エントリーの際に、前回のロット数を倍にする、あるいは特定の倍率で増やすことで、平均取得単価をより効率的に引き下げ、一度の反転で大きな利益を狙います。ただし、この方法はリスクが高いため、慎重な資金管理が不可欠です。
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これらのエントリーロジックは、EAに事前にプログラムされており、市場の状況に応じて自動的に実行されます。ナンピン系EAの設計においては、初回エントリーの精度と、追加エントリーのタイミング、ロット数、そして最大ポジション数や損切りラインの設定が、リスク管理上非常に重要となります。
メリット
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相場が反転すれば利益が出やすい: 一時的な逆行であれば、比較的早く含み損を解消し、利益に転じることが期待できます。
デメリット
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ドローダウンのリスクが高い: 一方的なトレンドが発生した場合、含み損が雪だるま式に増え、強制ロスカットのリスクが非常に高まります。
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資金管理が重要: 多くの資金が必要となり、適切な資金管理ができていないと破綻する可能性があります。
2. グリッド系(トラリピ系)アルゴリズム
グリッド系アルゴリズムは、一定の値幅ごとに複数の買い注文と売り注文をあらかじめ設定し、価格がその範囲内で上下するたびに自動で利益を積み重ねていく手法です。マネースクエアの「トラップリピートイフダン®(トラリピ®)」が有名です。
特徴
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レンジ相場に強い: 特定の価格帯で価格が上下するレンジ相場において、細かく利益を積み重ねることを得意とします。
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複数の注文を自動で管理: 事前に設定したルールに基づいて、新規注文から決済注文までを自動で繰り返します。
メリット
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少額の利益を積み重ねる: 大きな利益を一度に狙うのではなく、コツコツと利益を積み上げていくため、安定した収益が期待できます。
デメリット
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トレンド相場に弱い: 一方的なトレンドが発生すると、設定したレンジを外れてしまい、含み損が拡大する可能性があります。
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設定が複雑: 適切なグリッド幅や本数を設定するには、相場分析や経験が必要です。
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スワップポイントの影響: グリッドトレードは、レンジ内で複数のポジションを長期的に保有することが多いため、スワップポイント(金利差調整額)の影響を受けやすくなります。特に、売りポジションと買いポジションを両方持つ場合や、全体としてスワップポイントの支払いが発生する通貨ペアを運用する場合、日々のスワップコストが累積し、利益を圧迫する可能性があります。買いスワップが発生する通貨ペアであっても、レンジを外れて含み損が拡大した際には、スワップ益が含み損をカバーしきれないことも考慮する必要があります。
適した通貨ペア
グリッド系(トラリピ系)アルゴリズムは、特定のレンジ内で価格が上下する「レンジ相場」に強いため、レンジを形成しやすい通貨ペアが適しています。
一般的に、以下のような特徴を持つ通貨ペアがグリッドトレードに適しているとされます。
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値動きが比較的安定している通貨ペア: 急激なトレンドが発生しにくい通貨ペアは、設定したレンジ内で取引が継続しやすいため、グリッドトレードの恩恵を受けやすいです。
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特定の経済圏内の通貨ペア: 例えば、オーストラリアドル/ニュージーランドドル(AUD/NZD)やユーロ/英ポンド(EUR/GBP)、米ドル/カナダドル(USD/CAD)、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(NOK/SEK)など、隣接する国同士や同じ経済圏に属する通貨ペアは、比較的レンジを形成しやすい傾向があります。これは、両国の経済状況が似通っているため、極端な価格差が生じにくいことに起因します。
具体的な通貨ペアの例としては、以下のようなものが挙げられます。
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豪ドル/NZドル (AUD/NZD): 比較的レンジを形成しやすく、トラリピの代表的な通貨ペアとして人気が高いです。
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ユーロ/英ポンド (EUR/GBP): 同様にレンジ相場になりやすい傾向があります。
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米ドル/カナダドル (USD/CAD): 原油価格などの影響を受けつつも、比較的レンジ内で推移することがあります。
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ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ (NOK/SEK): 北欧通貨同士で、安定した値動きが期待できることがあります。
ただし、どのような通貨ペアも常にレンジ相場であるとは限らず、経済状況の変化によってトレンドが発生することもあります。EAを運用する際は、選択した通貨ペアの特性を理解し、定期的に相場状況を確認することが重要です。
3. 仲値アノマリーアルゴリズム
仲値アノマリーアルゴリズムは、東京市場の「仲値(なかね)」決定時刻(日本時間午前9時55分)前後に発生しやすい特定の価格変動の傾向(アノマリー)を利用した取引手法です。特に米ドル/円(USD/JPY)で顕著に見られるとされています。
特徴
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仲値への収斂: 銀行がその日の対顧客取引の基準となるレート(仲値)を決定する9時55分に向けて、実需(企業の決済など)のドル買い需要が高まり、ドル円が上昇しやすいという傾向を利用します。
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「ゴトー日」との関連: 毎月5日、10日、15日、20日、25日、30日といった「ゴトー日」は、企業の決済日が集中するため、特に仲値に向けたドル買いが強まる傾向があると言われています。
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短期的な値動きを狙う: 仲値決定前の数十分間での上昇と、仲値決定後の反動(利確などによる下落)を狙う、非常に短期的な取引が中心となります。
メリット
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特定の時間帯に集中: 毎日決まった時間帯に取引チャンスが訪れるため、他の時間帯の相場変動に左右されにくいです。
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比較的再現性がある: 完全に予測できるわけではありませんが、過去のデータから一定の傾向が確認されており、統計的な優位性があると考えられています。
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ドル円に特化: 流動性が高く情報も豊富なドル円に絞って取引できるため、分析しやすい側面があります。
デメリット
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アノマリーは絶対ではない: 仲値アノマリーはあくまで「傾向」であり、毎日必ず上昇するわけではありません。経済指標発表や突発的なニュースなどによって、アノマリーが崩れることもあります。
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ボラティリティが高い: 仲値付近は値動きが荒くなることがあり、スリッページや予想外の損失が発生するリスクがあります。
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スプレッド拡大のリスク: 仲値付近では、FX業者のスプレッドが一時的に拡大することがあり、利益を圧迫する可能性があります。
4. スキャルピング系アルゴリズム
スキャルピング系アルゴリズムは、ごく短時間(数秒から数分)で売買を繰り返し、小さな値動きから利益を積み重ねる手法です。
特徴
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超短期取引: ポジション保有時間が非常に短く、一回の取引で狙う利益幅も小さいです。
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高頻度取引: 1日に何十回、何百回と取引を行うことがあります。
エントリーポイントの一般的なロジック
スキャルピングにおけるエントリーポイントの決定は、非常に短い時間足(1分足や5分足)での価格の動きと、テクニカル指標の組み合わせが重要になります。
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ブレイクアウト: 短期的なサポートラインやレジスタンスラインを価格が突破した際に、その方向に順張りでエントリーします。ブレイクアウトの勢いや出来高(FXではティックボリュームなど)の増加を確認することが多いです。
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平均回帰(リバーサル): 価格が移動平均線やボリンジャーバンドなどの中心線から大きく乖離し、反転の兆候が見られた際に、平均値に戻る動きを狙って逆張りでエントリーします。RSIやストキャスティクスなどのオシレーター系指標で買われすぎ・売られすぎを判断します。
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移動平均線のクロス: 非常に短い期間の移動平均線(例: 5期間と20期間)のゴールデンクロス(買いシグナル)やデッドクロス(売りシグナル)をエントリーのトリガーとすることもあります。ただし、ダマシも多いため、他の要素と組み合わせることが重要です。
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プライスアクション: ローソク足のパターン(例: ピンバー、包み足)や、サポート・レジスタンスラインでの反発・反落といった価格の動きそのものを重視してエントリーします。
メリット
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リスクが限定的: ポジション保有時間が短いため、突発的な相場変動による大きな損失を避けやすいです。
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資金効率が良い: 小さな値幅でも利益を積み重ねるため、資金を効率的に回転させることができます。
デメリット
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スプレッドの影響が大きい: 取引回数が多いため、スプレッド(買値と売値の差)が利益を圧迫する要因となります。
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高い約定力が必要: 短時間での取引が多いため、約定力の高いFX業者を選ぶ必要があります。
5. デイトレード系アルゴリズム
デイトレード系アルゴリズムは、1日のうちに取引を完結させ、翌日にポジションを持ち越さない手法です。
特徴
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日中取引: その日のうちに新規注文から決済までを行います。
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オーバーナイトリスクの回避: 翌日に持ち越さないため、経済指標発表や要人発言などによる突発的な価格変動リスクを回避できます。
エントリーポイントの一般的なロジック
デイトレードでは、日中のトレンドや主要なサポート・レジスタンスレベルを重視してエントリーポイントを決定します。
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トレンドフォロー: 日足や60分足でトレンドの方向を確認し、5分足や15分足などの短い時間足で押し目買い(上昇トレンド中の一時的な下落からの反発)や戻り売り(下降トレンド中の一時的な上昇からの反落)を狙います。移動平均線の向きやパーフェクトオーダーなどをトレンド判断に用いることが多いです。例えば、短期移動平均線が長期移動平均線の上に位置し、両者が上向きに傾いている「パーフェクトオーダー」の状態は、強い上昇トレンドを示唆し、押し目での買いエントリーの好機と判断できます。
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主要な価格帯での反発/反落: 前日の高値・安値、当日の始値、ピボットポイント、キリの良い数字(例: ドル円の150.00円)など、市場参加者が意識しやすい価格帯での反発や反落をエントリーの根拠とします。これらの価格帯でローソク足が反転を示すパターン(例:ピンバー、包み足)が出現した場合、エントリーの信頼性が高まります。
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経済指標発表時: 重要な経済指標発表後など、相場が大きく動き出すタイミングで、その方向に乗ってエントリーを検討します。例えば、予想を上回る経済指標の結果が出た場合、その通貨が買われる傾向にあるため、発表直後の値動きの勢いを確認して順張りエントリーを狙います。ただし、発表直後は値動きが非常に荒くなるため、スリッページのリスクや、発表内容の解釈ミスによる損失のリスクも高まります。そのため、EAで運用する場合は、発表時刻を避ける設定や、非常に厳格なリスク管理が求められます。
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チャートパターン: ダブルトップ・ダブルボトム、ヘッドアンドショルダー、三角持ち合い、フラッグ、ペナントなどのチャートパターンが完成した際に、その後の値動きを予測してエントリーします。これらのパターンは、市場の心理や力の均衡を示しており、パターンが完成した後のブレイクアウトを狙うのが一般的です。例えば、三角持ち合いを上抜けたら買い、下抜けたら売りといったロジックが考えられます。
メリット
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リスク管理がしやすい: その日のうちに損益が確定するため、翌日への不確実性(オーバーナイトリスク)がなく、リスクを管理しやすいです。急なニュースや市場の変動による影響をその日のうちに完結させることができます。
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スワップポイントの影響を受けない: ポジションを翌日に持ち越さないため、スワップポイントの支払いが発生しません。これにより、高金利通貨を売る場合のスワップコストを気にすることなく取引が可能です。
デメリット
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取引チャンスが限られる: 1日の値動きの中でしか利益を狙えないため、相場が大きく動かない日やレンジ相場が続く日には、取引チャンスが限られる場合があります。EAのロジックが特定のトレンドパターンに依存している場合、チャンスが少なくなる可能性があります。
6. スイングトレード系アルゴリズム
スイングトレード系アルゴリズムは、数日から数週間かけてポジションを保有し、比較的大きな値幅を狙う手法です。
特徴
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中期的な取引: スイングトレードは、数日から数週間という比較的長い期間にわたってポジションを保有します。これは、スキャルピングやデイトレードのような短期的な値動きの「ノイズ」を避け、より大きな時間軸でのトレンドや相場の流れを捉えることを目的としているためです。日足や週足といった上位足のチャート分析が中心となり、短期的な市場の変動に一喜一憂することなく、落ち着いて取引に臨むことができます。
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トレンドフォロー: 主にトレンドの発生に乗って利益を狙います。明確な上昇トレンドであれば買いポジションを、下降トレンドであれば売りポジションを保有し、トレンドが継続する限り利益を伸ばすことを目指します。トレンドの方向性を見極めるために、複数の時間足でのトレンド分析や、移動平均線、MACDなどのトレンド系指標が多用されます。
エントリーポイントの一般的なロジック
スイングトレードでは、中長期的なトレンドを重視し、短期的な調整局面でのエントリーを狙います。
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トレンドの確認と押し目/戻り: 週足や日足で大局的なトレンド(上昇トレンドか下降トレンドか)を確認し、そのトレンド方向への押し目(上昇トレンド中の一時的な下落)や戻り(下降トレンド中の一時的な上昇)が発生した際にエントリーを検討します。例えば、上昇トレンド中の通貨ペアが、短期移動平均線(例:20日移動平均線)まで一時的に下落し、そこで反発の兆候(陽線出現、下ヒゲなど)を見せた場合、押し目買いのチャンスと判断できます。また、平均足が陽線から陰線に、または陰線から陽線に変わることで、トレンドの中での一時的な調整の終了と、再度トレンド方向への動き出しを捉えることも有効です。
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主要なサポート/レジスタンスライン: 過去に何度も価格が反転した高値や安値、節目となる価格(例:100.00円、1.1000ドル)、あるいはフィボナッチリトレースメントの主要なレベル(例:38.2%、61.8%)などで価格が反転するポイントをエントリーの候補とします。これらのラインは、多くの市場参加者に意識されるため、価格が到達した際に反発や反落が起こりやすい傾向があります。EAでは、これらのラインに価格が到達した際に、特定のプライスアクション(例:大陽線/大陰線の出現、特定のローソク足パターン)を確認してエントリーするロジックが組まれることがあります。
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ブレイクアウト: 長期的なレンジ相場や、重要なトレンドライン、チャートパターン(例:三角持ち合い、ヘッドアンドショルダー)を価格が明確にブレイクした際に、その方向へエントリーします。ブレイクアウトは、新たなトレンドの始まりを示す強力なシグナルとなり得ます。信頼性を高めるためには、ブレイク後に一度ブレイクしたラインに戻ってきて、そのラインが今度はサポート(上昇ブレイクの場合)またはレジスタンス(下降ブレイクの場合)として機能する「リテスト」を確認してからエントリーする手法も有効です。リテスト後の再上昇/下落を確認することで、ダマシを回避し、より信頼性の高いエントリーを狙うことができます。
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モメンタム指標の活用: RSI(相対力指数)やMACD(移動平均収束拡散)などのモメンタム指標は、トレンドの勢いを再確認したり、過熱感を判断したりするのに役立ちます。例えば、上昇トレンド中の押し目でRSIが売られすぎ水準(例:30以下)に達した後に反転して上昇し始めるタイミングを狙うことで、トレンドの継続を確認しつつ、有利な価格でエントリーできます。MACDのラインとシグナルラインのクロスや、ゼロラインとの関係も、トレンドの勢いや転換を示唆するシグナルとして利用されます。複数のテクニカル指標が同じ方向を示す「コンフルエンス」が確認できるポイントは、より信頼性の高いエントリーポイントとなります。
メリット
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分析に時間をかけられる: 短期的な値動きのノイズに一喜一憂せず、日足や週足といった大きな時間軸でじっくりと相場を分析できます。これにより、より本質的なトレンドや市場の構造を理解し、感情に流されることなく冷静な判断を下すことが可能です。
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取引回数が少ない: スキャルピングやデイトレードに比べて取引回数が少ないため、精神的な負担が少ないです。頻繁なチャート監視や素早い判断が不要なため、本業がある方でも比較的取り組みやすく、日常生活との両立がしやすいという利点があります。
デメリット
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オーバーナイトリスクがある: ポジションを翌日以降に持ち越すため、市場が閉まっている間に発生する突発的なニュースや経済指標発表、週末の地政学リスクなどによる「窓開け」(価格が大きく飛んで始まること)のリスクがあります。これにより、設定した損切りラインを大きく超えて損失が拡大する可能性があります。このリスクを軽減するためには、週末前にポジションを閉じる、あるいは非常に余裕を持った資金管理を行うなどの対策が必要です。
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スワップポイントの影響: ポジション保有期間が長くなるため、スワップポイント(金利差調整額)の支払いまたは受け取りが損益に影響します。特に、金利の低い通貨を買い、金利の高い通貨を売るポジション(売りスワップが発生するポジション)を長期保有すると、スワップコストが累積し、利益を圧迫する可能性があります。逆に、買いスワップが発生するポジションであれば、利益に貢献することもあります。EAを設計する際には、スワップポイントの影響も考慮に入れる必要があります。
まとめ
FXのEAには、様々なアルゴリズムが存在し、それぞれ得意な相場状況やリスク特性が異なります。
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ナンピン系: 一時的な逆行からの回復を狙いますが、トレンド相場では危険。
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グリッド系: レンジ相場でコツコツ利益を積み重ねますが、トレンド相場では含み損拡大のリスク。
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仲値アノマリー: 特定の時間帯(仲値付近)のドル円の傾向を狙いますが、アノマリーは絶対ではなく、スプレッド拡大のリスクも。
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スキャルピング系: 超短期で高頻度取引、リスク限定的だがスプレッド影響大。
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デイトレード系: 1日完結、オーバーナイトリスク回避。
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スイングトレード系: 中期保有、トレンドフォローで大きな値幅を狙う。
EAを選ぶ際は、ご自身の資金量、リスク許容度、そしてEAが想定している相場状況を理解し、バックテストやフォワードテストの結果を十分に確認することが重要です。また、複数のアルゴリズムを組み合わせたEAも存在するため、多角的に検討することをおすすめします。